(絵本) 孫への爺ちゃん絵本

::::::::::爺ちゃん絵本の作成履歴::::::::::::
(1) R5/4 惺くんと爺ちゃんんの宇宙旅行
  絵が好きな長女の長男 惺くんへ

(2) R6/4 宇宙から来た黒猫小町
  最初の孫 次女の長男 温くんへ
  米国生まれでサッカー⚽️が大好き

(構想中)
(3) R7/4 
  電車が大好きな三女の長男 咲くんへ

(4) R8/4
  絵本が大好きな次女の長女 百ちゃんへ





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ボクのお爺ちゃんは71歳。ボクの名前は惺(コウ)、絵を描くのが大好きな5歳。東京天文台へ行ったお爺ちゃんが急に、「惺くん、色鉛筆ロケットで宇宙旅行へ行こう。コウという名前は星の心と書くんだから」と言ってきました。お父さんお母さんが付けてくれた自分の名前について考えたことは無かったけど、お絵描きも好きだし、宇宙を見てみたいこともあり、「うん」と答えました。
お爺ちゃんは怖いけど、何でも知っています。「コウくん知っているかい。日本で一番最初にロケットを作ったのは糸川博士で、ペンシルロケットと名前を付けたんだ。色鉛筆はカラーペンシルだから仕組みは一緒なんだ。でもね、色鉛筆は夢を乗せて飛ぶんだ」ふーん。何だかよく分からないけど。ボクが描いた絵を見せると、「上手だね!これは宇宙人だね」それで僕は名前を付けました。つのつのいじめっ子星人、しろしろカキ氷星人、ケーキ星人。
色鉛筆って楽しいんだ。ボクはいつも絵を描いている。何時間でも。絵を描くと夢が広がるんだ。お爺ちゃんはいつも言う。「夢を持つことは大切だ。夢を持って努力すれば、何でも願いは叶うんだよ」 お爺ちゃんが宇宙に飛び立つロケットの絵を描いてくれた。このロケットには僕も乗っている。遠い遠い未知の星へ向けて出発だ。
それから何日経っただろう。宇宙では昼も夜も無い。目を開けると大きな赤い星が見えてきた。色鉛筆ロケットはすごく早くて、何億光年の距離も一瞬で到着できるんだ。この星は小さいから重力が小さく、歩いているとふわふわ飛び跳ねる。楽しい。遊んでいると、どこかで見た動物がやってきた。キツネのフォックス君と星のスター君だ。ボクが描いた絵が本当にこの星では生きているんだ!
次に行ったのは暖かくて緑の多い星。ポカポカ太陽が出ている。地球と同じだ。ここにもボクが描いたウサギのラビット君と、ラビット君の家がある。ラビット君もボクに会えて大喜び。楽しくて、気持ちよくて、芝生の上で何時間も遊びました。

色鉛筆ロケットの最後の寄港地、暗闇の星に着きました。寒い。太陽が無いとこんなに寒いんだ。地球は太陽との距離がちょうど良いけど、太陽から遠い火星や木星はこの星と同じように寒いんだって。太陽はキャンプの焚き火みたいなもんだね。迎えに来てくれたのは、ボクの描いた恐竜2匹。名前は忘れたけど、こんな寒いところで生きていたんだ。恐竜の2匹もボクに会えたのを喜んで、一緒にスケートをして遊びました。どんな環境でも僕の友達は一生懸命生きている。ボクも見習わなければ。
宇宙の旅も終わり。明日は懐かしい地球に帰る日。「地球は青かった」。この言葉は初めて宇宙空間に行った宇宙飛行士の言葉だとお爺ちゃんが教えてくれた。ボクにも地球が綺麗な青色に光り輝いて見えた。きれい。でもお爺ちゃんが「地球は青く綺麗な星に見えるけど…、よく見ると赤い悲しみの血を流しているところが沢山あるんだよ」。ボクには詳しくは分からなかったけど、地球に帰ったら勉強してみよう。こんな綺麗な一つの星で、なんでそんなことが起こるのかと。
地球に帰ってきた。疲れたけど楽しかった。しばらくして家族で東京天文台に行って、見学して、絵本を見て、そして庭でボランティアの人たちと工作をしました。気づいたんだけどお爺ちゃんって天文台の片隅にある古い望遠鏡に似ている。宇宙の遠くを見ていて、何年も生きていて、古くて…でも気持ちは若い。お爺ちゃんが言った「コウくん、色んなものを見て勉強になったかな。勉強というのはテストの点数ではなく、広い世界を見て、色んな人と友達になって、自分の想像力を膨らませて夢を叶える作業なんだ」。このお爺ちゃんの言葉を僕は忘れない。

お爺ちゃんは、いま田舎で子供図書館を作っているんだって。それに果樹園で農家のお爺さんをしながら、留学生たちのお世話もしているんだって。ボクはまだ小さいから何もできていないけど、これから勉強してお爺ちゃんのようになろう。何でも夢を叶えられる色鉛筆を持って。
(お爺ちゃんから孫たちへのメッセージ)
 お爺ちゃんは昭和26年生まれで、戦争のない時代に71年間も生きてきました。コウくんのひいお爺ちゃんは大正14年生まれ。18歳で零戦のパイロットになりました。戦争が終わって70年余り。コウくんたちの時代も平和であって欲しいと願っています。
(時代を経て)
 あれから30年。宇宙に行ったボク。色鉛筆のロケットが見せてくれた夢。お爺ちゃんが残してくれた色鉛筆の思い出。「百歳まで生きなければやりたい夢が片付かない、色んな人に受けたご恩を、若い人たちに返していくんだ」といつも言っていたお爺ちゃん。もうお爺ちゃんはいないけど、ボクの中で色鉛筆を持ったお爺ちゃんは生きている。お爺ちゃんを思う時、ボクはいつも子供の心に戻る。
 地球は戦争だらけ。どうしたらみんな仲良く暮らせるのだろう? でもボクは諦めない。星の心を持った惺くんという立派な名前があるのだから。そして、お爺ちゃんからもらった「何でも夢が叶えられる色鉛筆」があるのだから。 終わり 
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 (絵本を書き終えて)
 初めて東京天文台に行って2週間。今日は日曜日。描き上げた原稿絵本を持って東京天文台へ行ってきます。14年間ボランティア活動の工作教室で子供たちに夢を与え続けてきた森のお爺さんグループと、星と森と絵本の家に会うために。虹色がいっぱいの天文台へ。
 いま気づいた。天文台は宇宙を観るだけではなく、宇宙から美しい地球を観る場所なんだと。
(あとがき)
 この物語はこれからも続きます。子供が夢を持ち続ける物語、過去に起こった歴史を子供に知ってもらう物語です。
 原爆を経験した広島県に生まれた私は、特に歴史を伝えるということを強く思っています。中学生の頃、街の中心部には原爆スラムと呼ばれていた広大なエリアが残っていました。平和になったと思っていたけど、あっという間に世界中に暗さが増してきました。子供達からも夢が消えてしまわないか心配しています。昔見た映画ネバーエンディングストーリー。子供の心に夢が失われていく中で、龍に乗って希望を探しにいく物語。ずっと心の片隅にあるこの物語を絵本で描きたいと思いました。200円の色鉛筆と画用紙で描いた宇宙のストーリーです。
作者紹介
71歳。6年前から故郷広島に通い果樹園づくりをしています。昨年から小さな子ども図書館の建設を始め、今回東京天文台を訪ねたのがキッカケで、初めての絵本づくりを思い立ちました。孫のコウ君と2人での合作絵本。楽しい絵本づくりでした。
作品詳細
(ストーリー概要、制作にあたっての工夫)
絵を描くことが大好きな、星の心という名前を持つ惺(コウ)君5歳。私お爺ちゃんがコウ君を誘って色鉛筆ロケットで宇宙旅行に出発。孫に広い世界を見てもらい、成長を願う絵本です。









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僕は沖縄コザのカフェに住む黒小町。宇宙歴ゼロ年生まれだから、もう138億歳。若く見えて可愛いいとよく言われるけど、宇宙では一番の古株。だから宇宙のことなら何でも知ってるよ。それに何にでも形を変えられるんだ。今は日本は平和。沖縄でサーフィンをしながらのんびり暮らしているよ。
沖縄に来る80年前までは、瀬戸内海のきれいな海でクジラになって平和に暮らしていたよ。でも日本で大きな戦争が始まり日本で鉄が足らなくなって、僕は何にでも姿を変えられるから、軍人さんに戦艦大和にされてしまったんだ。世界一大きな戦艦だったけど、戦争の終わりころに沖縄に特攻出撃して、あっという間に沈没。それで、ボクは沖縄まで泳いでやってきたんだ。遠かったけど、クジラ時代があったから泳ぎが上手。それからは目立たない黒猫になってコザの町で静かに暮らしてきた。でも沖縄はアメリカ軍の基地ができて、戦後は大変だったよ。
そんな時、ふらりとお爺さんが広島からやってきて「孫のハル君と一緒に宇宙に行ってくれないか」と言うんだ。びっくりしたよ。不思議なことに、このお爺さんは猫の言葉を話せるんだ。お爺さんは「1年前、孫のコウ君がペンシルロケットで宇宙の友達のところへ行ってきたんだけど、今度はハル君を連れて行ってくれないか」と言うんだ。ボクは頼まれると断れないお調子者だから「はいよ、任せて」と即答してしまった。あとで反省したけどね。かっこよく宇宙へ行きたいから、外観は宇宙戦艦ヤマトの形。ヘルメットは東京天文台の「第一赤道儀」。戦艦大和の大砲の代わりに望遠鏡20㎝テレスコープ。船の先端の紋章もカッコいいだろう。
いよいよ宇宙へ出発だ。省エネ時代だから工夫をしたよ。沖縄はスコールという大雨が時々降るんだ。そのタイミングで雨の川を登って積乱雲まで行くんだ。高度が高くなると重力が少ないから、小さなペンシルロケットを1次エンジンにすると簡単に宇宙に向けて飛び立てる。ちょっと子どもには難しいかな。頼まれたお爺さんの6歳の孫ハル君も載せて。さあ出発だ。
見えてきたよ。一年前に従弟のコウ君が会いに行った星に住む友達。(この時の様子は前回の絵本「コウ君と爺ちゃんの宇宙旅行」を見てね)あれれ、友達がみんな一つの星に集まって大歓迎。みんな姿がすごく違うのだけど、みんな仲良し。楽しそうに一緒に遊んでいる。1年の間に学校も図書館も作ったんだね。ケンカをしていないか心配したけど、みんな仲良し。地球と全然違うね。
ボクは宇宙の大先輩だからハル君に教えてあげる。地球の大きな戦争は1年前はウクライナとロシア、1年経っても続いている。それに去年からパレスチナが大変なことになっている。それから地球について教えてあげた。偉そうに「地球は宇宙の中で奇跡なんだ。何十億個とある宇宙の星の中で、水があって、土があって、たくさんの動物や植物が満ちあふれている。だから地球は宇宙の中で大切な存在なんだ」。神奈川県の博物館の館長の話の受け売りだけど。お爺さんはハル君にこのことを教えたかったのだろうね。
今日は東京天文台で一番古い「第1赤道儀君」も来ているから、この立派な望遠鏡で地球の人たちを見てみよう。一人ひとりの生活を見ると平和の大切さがわかるよ。ハル君、君のお爺さんはこんなことを言っていたよ。「広島に生まれた自分には、パレスチナの戦火に苦しむ人たちと、原爆に苦しんだ人たちの苦悩が重なる。イスラエルのユダヤの人たちも2,000年あまり祖国を追われて生きてきた。イスラエルはパレスチナは神が約束した地と言うが、イスラエルの神はこれ程までに人を殺し奪い取る行為を許す残酷な神なのだろうか」。
<戦火の国からきた学生たち>
〇パレスチナから来たレイレイさん
 悲しみを含んだ表情が強く印象に残ったレイレイさん。混乱の祖国で一生懸命勉強して、認められ、昨年日本にやってきた。家族はいま、パレスチナで苦しい日々の生活。パレスチナはローマ帝国時代からオリーブオイルの産地。オリーブの木は何百年も生きてオリーブを作り、パレスチナの人の糧になってきた。その美しいオリーブ畑も奪い取られ、戦火の中…。
〇エジプトから日本にやってきたマルヤムさん
 パレスチナが戦火に包まれた昨年11月に母国に一時帰国。マルヤムさんから届いたFacebook、隣国パレスチナの戦火の苦しみをオリーブに込めたメッセージ。エジプトのお父さんが隣国パレスチナ産のオリーブしか使わないのを不思議に思っていた小さい頃の思い出。なぜ綺麗なオリーブオイルが売られているのに…。大きくなって父のその理由がわかった。お父さんが買っていたのは、苦しみが続くパレスチナの人を助けるためだったんだと。昔の日本人の優しさを持つマルヤムさん。「NHKテレビの英語であそぼ」にも出演。卒業したら世界の苦しみが無くなる仕事に就きたいという。
〇シリアからの留学生リームさん
 JACA奨学金で日本へ。学びながら生活費を切り詰め、祖国の両親に毎月送金。ご両親は祖国シリアを追われ、レバノンの仮住まいで苦しい生活が続いている。
〇ウクライナから逃れてきたマリーナさん 
 一昨年、戦火で祖国に帰れず広島西条へ。バレリーナ。故郷は東部の激戦地。1年後に頑張って広島大学の大学院に入学。やっと元気になった。卒業したら祖国との懸け橋になりたいと言う。国旗はウクライナの青い空と黄色のひまわり。早く平和な日々が来て欲しい。
〇なぜ
 ここ広島西条は世界の片隅の平凡な片田舎だけど、どうして身近に多くの戦火の現実があるのだろう。世界を見ると悲しみは大きくなっている。この出会いも神様からのメッセージなのだろうか。
〇温(ハル)君に伝えたい
 ハル君はお爺さんの最初の孫。サッカー好きの8歳。10人の孫の一番上。米国で生まれ、今はタイ。訪れた国は5か国。小さな親善大使。世界の各地で多くの戦争が起きたこの数年、お爺さんは「なぜ同じ人間が苦しめあうのか、どうしたら戦争を未然に防げるのだろうか」と考えてきました。その解決策のひとつは「子どもの頃から世界の子どもたちが一緒に遊び、友達になり、みんなが夢を持ち、語り合う世界をつくること」だと思います。
 
 ハル君が理科の絵本を読んでいるのにびっくりしました。お爺さんも子どものための「科学読物研究会」に入りました。一緒にたくさんの本を読んで、一緒に勉強しよう。
〇宇宙の縦糸と、時代の横糸
 お爺さんが小さい頃に見上げていた田舎の満天の星空。それはそれは綺麗でした。星は願いを叶えてくれる。希望を捨てないで。宇宙の素粒子のカケラから長い年月を経て生まれた美しい地球と人類。でもなぜ人は助け合う気持ちと同時に、憎しみあい殺しあうのだろうか。その中で人間は小さな存在だけど、必死で「宇宙の星の縦糸に、時代の横糸を正しく織込もうとする作業」が続けている。地球の全ての人が美しい夜空を見上げ、遠い宇宙と人間の愚かさを考え祈りを捧げたとき、1,000年先の人間のDNAに平和という未来が組み込まれていく。そうであって欲しいと思う…。
<最後に>
 絵本は子どもの心にメッセージを織り込む作業…だと思う。老人は子どもの心を失っているかもしれない。でも。70年も生きてきた思いを伝えることはできる。そうして未来に向けて平和の想いが受け継がれていく。暗い時代の過ちを繰り返さないためにも。ハル君の名前は「温かな心が久しく」という温久。この心で人生の糸を紡いでください。お爺さんが心の片隅で温めてきたこの物語。ケチなお爺さんが200円の色鉛筆と画用紙で描いお

この本はハル君と夢を持つ子どもたちに贈ります。